身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 運転席の窓を開け、手を振って車を発車させたきょんちゃんを見送る。

 きょんちゃんはこのあと、ネイルの仕事関係で行くところがあるという。東京で仕事をするために着々と準備を進めているようだ。


「すみません、バタバタで。ありがとうございます」

「とりあえず移動するか」

「はい」


 きょんちゃんを一緒に見送ってくれた漣さんは、あのメッセージのあときょんちゃんの停車する車を見つけ、すぐそばにまで迎えに来てくれた。

 きょんちゃんは言っていた通り、漣さんに会うなり『初めまして。ごめんなさい!』といきなり謝っていた。そして、最後は私と子どもたちのことをよろしくお願いしますと挨拶していた。

 子どもたちはぐっすり寝ていて、きょんちゃんの車からひとりずつ漣さんの車に移動させた。

 それでもふたりとも目を覚まさず、未だに眠っている。

 今日は初めて長時間車に乗って東京まで出てきたし、結婚パーティーでもはしゃいでいたし疲れたに違いない。

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