身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
その後、詩の見たがっていたペンギンやアザラシなども見て、水族館内のお土産ショップに立ち寄る。
詩はすぐにぬいぐるみコーナーを見つけ、「ペンギンー!」と一直線。そのあとに漣さんがついていく。
一方の月は私の手を握っていて、珍しく詩にはついて行こうとしない。
水族館内では詩と楽しそうにしている場面も多く見られたけれど、思い出したように私の元に来ていた
「月は何か欲しいのあるかな? 見てみる?」
「うん。みる」
先にぬいぐるみコーナーに行っていた詩は、三十センチほどの大きさのペンギンのぬいぐるみをすでに腕に抱いていた。
「うた、これにする! つきは?」
詩は自分の選んだものを月に見せにくる。
月は私の手をやっと離し、ぬいぐるみコーナーを見て歩いていく。
足を止めたのはサメのぬいぐるみの前で、その中からひとつを手に取った。
「ママ、これサメだよね?」
「うん、サメだね。月はサメが欲しいの?」
「いちばんつよいのがほしいの。サメがいちばんつよい?」
「え、海でってこと?」
突然の難しい質問に「んー……」と唸る。
子どもの素朴な質問には、時にこうして回答に困るときがある。
知っていることなら即答できるけど、たまに調べないとわからないようなことを訊かれるのだ。
映画とかにもあるし、サメが海で一番強いようなイメージなんだけど……。