身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 部屋に着いて程なく、インターホンが鳴らされる。

 ゆっくり食事ができるようにと、外に出ることなくレストランのメニューをいただけるルームサービスを漣さんが手配してくれていた。

 まだ騒いでしまう子どもたちを連れてだから、外食はどうしても周囲に気を使う。

 だから、プライベート空間なら安心して食事の時間を過ごせる。


「わー! ハンバーグだー!」

「スパゲティにエビフライものってる!」


 子どもたちには豪華なお子様ランチで、ふたりは用意してもらった子ども用のハイチェアに座るなり、ぴょんぴょんお尻を跳ねさせている。


「ほら、ちゃんと座って! エプロンがあるからつけようね」


 食事と一緒に用意してもらった紙エプロンをつけようと手に取ると、漣さんが「
「ふたりとも、食事は自分ひとりで食べてるのか?」


「はい。だいたいは自分たちで食べられます。こぼしたり汚したりはしますけど、だいぶ楽になりました」


 振り返れば、ふたりとも二歳近くから自分でスプーンを使って食べられるようになってきた。

 なんでも自分でやってみたいという気持ちが芽生える時期というのと、お互いを見て真似たり、時には競い合うという双子ならではの成長でなんでもできるようになってきた部分は大きい。

 大変だったのは、離乳食が始まったばかりの頃だ。

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