身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「ママね、ふたりに大事なお話があるの」


 切り出すと、漣さんの視線を横顔に感じた。私がいよいよ今からふたりに話すことがわかったからだ。

 ベッドに転がっていた月と詩が体を起こしその場に座る。

 三人からの視線を浴びて、次に続ける言葉を慎重に選んだ。


「今日、楽しかった?」

「うん! たのしかったよー。ペンギンかわいかった」


 漣さんに買ってもらってぬいぐるみを抱きしめ、詩は満面の笑みを浮かべる。


「さかな、たくさんみれてたのしかった。またいきたい!」


 はじめはいつもの調子が出ていなかった月も、初めての水族館は楽しめたようだ。また行きたいと言ってくれてホッとする。


「そっか、良かった。これからさ、こんな風に、月と詩と、ママと漣さんと。四人で一緒にいられたらいいなって思うんだけど、どうかな?」


 月と詩は言われている意味がわからなかったのか、私の顔をじっと見つめる。

 ふたりの大きな目に、次第に心拍が上がっていくのを感じた。

 これから真実を伝えて、子どもたちがどんな反応を示すか。

 拒絶されてしまったらどうしよう。受け入れてもらえなかったらどうしたらいいのだろう。

 そんな不安と共に意を決して口を開いた。


「ふたりには、パパには会うことできないって話してたけど……漣さんがね、ふたりのパパなんだよ」

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