身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「今日は、ありがとうございました。ふたりとも、すごく楽しかったみたいで」

「そうか、それならいいが。やっぱり、難しさを感じた一日だった」

「難しさ?」

「子どもたちとの接し方は、これでいいのかと常に考えていた」


 突然父親ができることの変化に子どもたちが順応できるかどうかばかり心配していたけれど、漣さんのほうだって同じだと今更気づく。

 突然子どもがふたりできた漣さんだって、戸惑い迷うことばかりに違いない。


「私も、毎日これでいいのかな?って、思うことばかりですよ。子どもたちと過ごしてきて」

「菜々恵が?」

「はい。子育てって正解がないというか、その親子によって違うと思うんです。だけど、一番は子どもも親も一緒に幸せならいいんじゃないかなって」


 ついそんなことを語ってしてしまいハッとする。

 漣さんがじっと私のことを見つめているのに気づき、誤魔化すように「あはは」と笑ってみせた。

< 184 / 246 >

この作品をシェア

pagetop