身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「っ、れん、さん……」
ソファの背もたれに預けていた体が、滑るように座面へ倒れていく。
いつの間にか漣さんに組み敷かれていて、端整な顔に浮かぶ微笑に鼓動が大きく音を響かせた。
「菜々恵」
耳元で名前を囁かれただけで体がぴくっと震える。
「あっ──」
その唇は耳珠にキスを落とし、こめかみ、顎のラインをなぞるようにして首筋に到達する。
首からデコルテにかけてキスの雨が降り注ぎ、この先の展開に鼓動を激しく高鳴らせ始めたとき、漣さんは体を離してわずかに微笑んだ。
「今日は一応、ここまでで我慢しておく。まだ、月に認めてもらってないかもしれないから」
漣さんはそう言って、触れるだけのキスを落とし体を起こした。
漣さんに腕を引いてソファから起き上がられてもらいながら、「そうですね」と答える。でも、漣さんに求められることを期待していた自分が密かに存在することに気づき、ひとり顔を赤らめた。