身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「月は? 詩と一緒にうさっきーと写真撮る?」

「とらない。オレはサムライレッドとしゃしんとりたい」


 月は月で、さっきから気になっていることがある。

 月の好きな特撮ヒーローのショーが見られるシアターがあり、そこに行きたいと言っているのだ。

 シアターにシステムを見にいくと、当日券も販売していることがわかり、帰る前に観て帰ろうということになった。

 月はそのことで頭がいっぱいのようだ。


「いいの? 詩と撮ればいいのに」

「ママー、はやくきてー! いっしょにとろうよー」


 早速うさっきーのマスコットの横に陣取った詩は、スマートフォンを向ける漣さんにポーズを取っている。


「月、じゃあ少し待っててね。一緒についてきて」


 月を連れて詩の元へ向かい、漣さんと並んで詩の撮影会が始まる。


「ママ、いっしょにとろうよ」


 詩が私も一緒に写ってほしいと言い、漣さんが「菜々恵も並んで」と促す。

 考えたら子どもの写真は撮る機会は多いけれど、一緒に写ることは今まで少なかったと気づく。

 そんなことを思いながら詩の横に一緒に並び、漣さんに撮影をしてもらった。

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