身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「うさっきーのおみせみたい」


 写真を撮り終えた詩は、向こうに見えるグッズ販売を見に行きたいと言う。


「じゃあ、見にいってみようか」

 そう答えたと同時。

「菜々恵、月は?」


 周囲を見回して漣さんが訊く。


「え……?」


 今少し前まで写真を撮っている横で待っていた月。しかし、その姿が近くに見当たらない。


「え、今ここにいたはず……月?」


 呼びかけてもやっぱり周辺に姿がなく、「月?」と名前を呼びながら撮影場所付近を回る。

 しかし、辺りに月の姿はなく、呼びかけに現れることもない。

 急激に焦燥感に襲われて、頭の中が一気に真っ白になっていく。


「どうしよう。勝手にどこかに?」

「捜そう。そんなに遠くまで行くはずないから、この周辺にいるはずだ」

「は、はい」

「見つけたら連絡する」

「わかりました」


 漣さんは足早にその場を離れ、月を捜しに離れていく。


「詩、月がいなくなっちゃったから、捜すからね」


 詩の手をしっかり握り、手を引いて月の行方を追う。

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