身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
月の姿が見つからないまま、さっきまでいたうさっきーの写真ブースまで戻ってきていた。
月の姿が見えなくなってから、もう十分ほどは経っている。
迷子になったという考えから、誰かに連れていかれたのではないかという考えが濃厚になっていく。
「菜々恵」
ちょうど漣さんも同じ場所に戻ってきて、三人が合流した。
「ここにも戻ってきてないみたいだな」
「はい。どうしよう、まさか連れ去りとか……これだけ捜してもいないなんて、誰かに連れていかれたんじゃ」
「菜々恵、落ち着いて。とにかく、迷子センターに届け出て、人手を増やして捜そう」
漣さんは私の背に手を添え、「大丈夫」と落ち着いた声をかける。
「必ず見つかる。見つけるから」
そう言って「行こう」ととんとんと背を優しく叩いた。
迷子センターに向かいながらも、手分けして月の姿を探して歩く。
月、お願い、無事でいて。早く顔を見せて──。
不安に押し潰されそうな中、心の中でそう叫んだときだった。