身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 月の話によれば、うさっきーと写真を撮影しているとき、遠くにサムライレッドの姿が見えたという。

 どうやらショーの前に子どもたちと握手をするイベントがあり、その関係で園内に姿を見せていたようだ。

 月はその姿を追いかけることに夢中になり、私たちの元を離れてしまったという。

 気づくと私たちの姿がなく、元の場所もわからず、ひとり園内を彷徨い、親切なご家族に声をかけてもらい保護してもらっていた。

 そのご家族と園内を歩いていたところ、月が漣さんの姿を見つけたのだった。

 月を保護してくれたご家族には、泣き顔で何度も頭を下げた。感謝してもしきれず、親切な人たちに声をかけてもらえたことに心から感謝した。


「いつの間にかぐっすりだな」

「そうですね。静かになったなと思ったら」


 帰りの車内。あの後、お昼を食べ、月の楽しみにしていたヒーローショーを観てから遊園地をあとにした。

 車に乗ってからもしばらくは楽しい二日間に感想を述べてくれていたふたりだったけれど、気づけばぐっすり眠りについていた。

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