身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「月のこと、ありがとうございました」
「いや、いなくなる前に気づかなくて悪かった」
「そんな! 漣さんが謝ることじゃないです。私も気づかずだったので」
あのときのことを思い出すと今もぞっとする。本当に見つかってくれてよかった。
「でも、菜々恵が子どもたちを大切に、心から愛してくれているのがよくわかった。すまない、不謹慎な発言かもしれないが、本当にそう思ったから」
「そんなことないです。漣さんだって、同じでしたよ。月のこと、必死に捜してくれてて嬉しかった。あのとき、漣さんが一緒にいてくれてよかったって、思ってました」
もしも私ひとりだったら。落ち着いて行動できていなかったかもしれない。
冷静な漣さんがいたから、心強かったし救われた。