身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「二日間子どもたちと一緒に過ごして、いろんな感情を覚えた。菜々恵はひとりでいろいろなものを抱えてきたんだなってことも改めて考えた。だからこれからは、ちゃんと一緒に共有していきたい」


 フロントガラスの先に向けられる漣さんの横顔に目を向ける。そこには真摯で真剣な表情があって、つい見入ってしまう。


「東京で、一緒に暮らしたい。菜々恵と、子どもたちと」


 改めてプロポーズをされたような、そんな気持ちにさせられた。

 私も全く同じ気持ちでいる。子どもたちにとっても、父親のいる生活はかけがえのないものだ。


「子どもたちにとって、パパにはそばにいてほしいと思います。私も、これからは漣さんと一緒にいたい」


 素直な気持ちを口にすると、ちょうど信号で車を停車させた漣さんの手が、そっと私の手を取った。

 重なり合った手のぬくもりが心地よく、空いているほうの手を彼の大きな手に重ね合わせる。


「準備が整ったら、迎えにいく」


 漣さんはそう言って、穏やかで温かい微笑を浮かべた。

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