身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 おばあちゃんに見送られ、漣さんの車がいよいよ発車する。

 後部座席と助手席のパワーウィンドウを開けてもらい、みんなで手を振った。


「パパ? あたらしいおうちってひろい?」

「おにわもあるんでしょ?」


 車が走り出すと、子どもたちは早速新しい住まいについて漣さんに質問攻めを始める。


「広いのかな? ふたりのばーばの田舎には負けると思うけど。バルコニーっていう庭みたいなのはついてるから、外では遊べるかな」

「うたとつきのへやもあるんでしょ?」

「ああ、ふたりの部屋もあるよ」


 返事を聞いた詩は「やったー!」と満面の笑みを浮かべる。


「なんか、送ってもらった画像で見たら、すごいお部屋だったので驚いて」

「子どもと暮らすことを考えて、広いバルコニーのついた低層タイプのマンションを探したんだ。病院からも近い、いい物件がちょうど見つかった。俺が夜いない日のことも考えて、セキュリティ面でも安心して住める物件だ」

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