身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「ふたりともー、靴ー!」


 早く中に行きたくて、普段は脱いだら揃えてくれる靴も玄関に四方八方に転がる。

 仕方なくふたりの靴を直し、玄関を上がった。


「すごい。玄関から広いですね。天井も高い」


 壁のシューズラックも大きいし、家族分の靴も余裕で収納できそうだ。


「掴みは良好みたいでよかった。本当は、もっと菜々恵の要望も聞いてじっくり選べればよかったと思ったんだが」

「いえ。要望は聞いてもらえてましたし、それ以上の場所を用意してもらってます」


 玄関を上がり、すぐ突き当たる廊下を曲がると、左右にドアが三つ。突き当たりがリビングダイニングとなっていて、先に入っていった子どもたちはリビング内で追いかけっこをしていた。


「月、詩、走りすぎるとケガするぞ」


 ふたりが走りたくもなるような広いリビングに、私も入り口で足を止められていた。

 奥に見えるバルコニーまで見ると、物凄く開放感のあるリビングダイニングだ。

 事前にもらっていた画像よりも、実際に見ると更に広く感じられる。

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