身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
10、不安な体調不良
残暑の厳しかった夏もやっと去り始めた九月下旬。
まだ日中は半袖で過ごせる日も多いけれど、朝晩は袖のある服を着るようになってきた。
「パパー、きょうはおしごとおそい?」
「かえってくるのおそい?」
子どもたちが、ダイニングテーブルでコーヒーのカップを手にしている漣さんの周囲を取り囲む。
漣さんはやって来たふたりの頭を同時に撫でた。
「今日は、遅くならない予定だな。もしかしたらいつもより早く帰ってこられるかもしれない」
漣さんからの話に、子どもたちは「やったー!」とリビングにかけていく。
「ママー、おそとであそんでてもいい?」
「うん、いいけど、寒くない?」
詩はリビングの掃き出し窓を開け、「うん、さむくない」と言いバルコニーに出ていく。そのあとを月も追って出ていった。
冬本番がくれば、バルコニーで長時間も遊べなくなる。今くらいの時期が外遊びはちょうどいい。
バルコニーには子ども用のブランコや滑り台を置き、漣さんが気軽に外で遊べるようにしてくれた。
夏の間はプールを置き、水遊びも毎日のように楽しんでいた。
バルコニーはふたりの大好きな場所だ。