身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「今日は遅くならないんですね」


 食器を洗いながら、出勤前のコーヒーブレイクをする漣さんに声をかける。

 キッチンからのこの眺めは、私にとって幸せな光景のひとつになった。


「ああ。よほど予想外のことが起こらないかぎりは。また連絡する」

「はい」


 漣さんと夫婦になって二か月。この豪華なマンションでの生活もやっと自分の日常になりつつある。

 子どもたちも、すっかり東京でのパパのいる毎日に慣れたように見える。


「そういえば、母親から連絡があったな。結婚式はどうするのかって」

「え、お義母様から?」

「もしやると決めたなら、一回いろいろ相談したいと言っていた。一度また来てほしいと」

「そうなんですね」


 初めて漣さんのご両親に挨拶に伺ったとき、お母様に結婚式のことを話題に出されてどきりとした。


 やっぱり、親としては結婚式はやってもらいたいものなのかな……?

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