身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む



 突然の立ち眩みを感じてから数日。

 夕食の支度をしている最中、また突然くらっときてしまい、思わずリビングのソファに横になっていた。


「ママ、どうしたの? だいじょうぶ?」


 こんな風にソファで横になることなど今までしなかったため、子ども部屋で遊んでいたふたりは私の姿を見つけると一目散に駆け寄ってきた。


「ごめんね。ちょっと休んでるだけだから」


 目眩を感じてすぐキッチン台に手をついて、しばらく目をつむって耐えていれば落ち着いてくるかと思っていた。

 でも、薄目を開けると視界がぐるぐる回って気持ち悪くもなってきて、これはまずいと倒れないように注意してリビングまでなんとか移動した。

 少し休んでいれば治ってくるかと様子をみて、もう三十分が経ってしまった。

 もうすぐ漣さんも帰宅する時間。まだご飯の支度も終わってないのにな……。


「ママ、おなかすいた」


 月は私の心配をしてくれながらも、空腹を訴えてくる。

 もう十八時を回っている。おやつを食べてから時間も経っているし、早いときは十八時前に夕飯を食べさせる日もあるからそう言われても仕方ない。

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