身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「ごめんね。もう少しでできるからね」
「つき、ママぐあいわるいんだよ? ごはんはまって!」
素直にお腹が空いたと口にした月に対し、詩はそんな月を怒る。
こういうところ、双子といえ違っていて面白いなと感じる。
「ママ、どこかいたいの? くるしいの?」
詩が私の横たわる顔の真横に座り込み、心配そうに覗き込む。
「ううん。痛くもないし、苦しくもないよ。ちょっとね、目が回っちゃって」
「めがまわってるの?」
「うん。倒れたら危ないでしょ? ふたりもビックリしちゃうしね。でも、そろそろ起きてご飯の支度しなくちゃね。パパも帰ってきちゃうから」
ゆっくり体を起こしてみる。でも、やっぱりまだだめなようで視界が揺れる。
「ママ、ねてていいよ! うたがやってあげるから!」
そう言った詩は、リビングに運んでおいた乾燥機後の洗濯物を入れてあるかごから洗い上がりの衣類やタオルを引っ張り出す。
「つきもおてつだいするよ! ぜんぶたたむー!」
詩に続いて月も一緒になって広げた洗濯物を畳み始めた。