身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「水瀬先生、スマホ、鳴ってましたよ」
医局に戻ると、当直明けでソファに沈み込んだままの救急医に声をかけられた。
「かなり鳴り続けてましたよ。切れてもまた鳴ってて」
どこか迷惑そうなニュアンスが含まれていて、「悪い」と素直に謝る。
疲れているところに延々と人のスマホが鳴っていたら誰だって迷惑だ。
しかし、こんな時間に着信とはどこからだろう。
そんなことを思いながら手に取ったスマートフォンには、菜々恵の名前が残されている。
仕事のときの連絡はメッセージアプリでしか寄越さないのに、着信を入れてきたとは何事だろうか。
そんなことを思いながらかけ直そうとしたとき、再び画面が着信画面に切り替わった。
「はい。どうかしたか──」
『パパ!? パパ!?』
「う、詩か!?」