身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
Epilogue
薄っすらと開けた目に映ってきたのは、さっきと同じ白い天井と、横に立っている点滴スタンド。
ぽたぽたと流れる薬液が繋がる先は私の腕で、目を動かして周囲の様子を窺った。
また、いつの間にか眠ってしまったようだ。
一度に目が覚めたときは、月と詩が心配そうに横にいて、救急車の中でストレッチャーに横になっていた。
自分がなぜそのような状況なのか、全く理解できなかった。
子どもたちや救急隊の話によると、リビング内で倒れていたという。
倒れたこと自体全く覚えてなくて、気づけば救急車の中だったのだ。
突然私が倒れたことで、詩が私のスマートフォンを使って漣さんに電話をかけてくれた。
万が一何かあったときに電話をかけられるくらい覚えてもらおうと、ふたりには漣さんに電話をかけられるようにスマートフォンの操作を普段から教えていた。
その甲斐あって、漣さんへ連絡を取り、漣さんが救急車を要請してくれたという。