身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「でも、それでは当初の私の予定と真逆になってしまうといいますか……今日は、この間のお礼をと思って来たのに」
「誘いに応じてくれたのでもうそれは達成してるから。だから、もうこの話は終わりだ」
ハンドルを握る水瀬先生は食いつく私をやんわり交わし、話を終わらせようと話題をまとめる。
「それは、先生が仕事の一環だと仰ったからですし……それとこれとは話が別といいますか、なんと言いますか……」
そんな話をしているうち、車窓には見慣れた景色が流れ始める。
事前に道案内していた通り、水瀬先生は間違えることなく車を走らせ、私の住まいのアパート前へ車をつけてくれた。
「ここで合っているか」
「はい。すみません、こんな目の前まで」
ハザードランプを点灯させた水瀬先生は、手早くシートベルトを外し、ひとり車を降りていく。
慌てて自分のシートベルトを外していると、助手席のドアが開かれた。
「すみません、ありがとうございます」
「訂正と否定がひとつずつある」