身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「はぁ……」


 だから、このため息は負のため息とは違う。

 水瀬先生のことでいっぱいになっている自分に困惑しているため息なのだ。


「立食形式だって聞いてるよ」

「え、楽しみー! 食べすぎ飲みすぎになるわ、絶対」


 ナースステーションに戻ると、午前の仕事がひと段落した日勤の看護師たちが声を弾ませていた。

 今日は朝から、病棟内のスタッフみんながそわそわ落ち着かない。

 仕事をしながらも今晩予定されている創立記念パーティーのことがあちこちで飛び交っている。

 水瀬総合病院は、今年で開業五十年を迎える。

 それを記念して、今晩創立五十周年パーティーがホテルのパーティー会場を貸し切り行われるのだ。

 病院関係者はじめ、この東京本院スタッフやその家族、横浜や関西の病院スタッフも集まるというからかなり大規模なパーティーになると予想される。

 今晩夜勤担当に当たるスタッフは参加できず残念がっている人もいると耳に挟んだ。

< 44 / 246 >

この作品をシェア

pagetop