身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「どうしてそんなことを思う?」
「それは……水瀬先生が、私にとって雲の上の存在だからです」
「雲の上?」
不思議そうに眉根を寄せた水瀬先生は、「なんだそれ」と苦笑する。
「お医者様で、聞くところによれば次期病院長で、みんなが見惚れるような素敵な容姿で。どうしたって、私とは住む世界が違いますから」
「そんなこと関係ない。俺は、ひとりの男として君が好きなんだ」
温かい腕に抱きしめられ、それ以上の言葉が出てこなくなる。
伝えてもらったこの想いを、私なんかが受け取ってもいいのだろうか。
戸惑わせるのは、この先も変わることのない身分差。
でも……今、確かにあるこの想いを大切にしたい。その想いが何より強かった。
抱きしめられたまま水瀬先生を見上げ、意を決して口を開く。
水瀬先生の真剣な眼差しに息が止まりそうになった。