身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
会えば話したい気持ちはあるものの、今は仕事中。
ぺこりと頭を下げて、水瀬先生が入ってきたドアノブを掴む。
「ちょっと待った」
そんな声と共に、ドアノブを掴んだ手首を掴まれる。
そのままくいっと引っ張られて、水瀬先生と向かい合った。
「久しぶりに会ったのに、そんな逃げるように立ち去らなくても」
「えっ、あ……そういうつもりではないですよ」
「そうか。仕事中に呼び止めて悪い」
「いえ! 今は休憩中なので。私こそ、先生お忙しいのに」
なんだか物凄くドキドキしてきたのを感じる。
これまで数回あった電話やメッセージのやり取りも、今まで経験のない胸のときめきを感じながらやり取りを交わしていた。
電話で声を聞きながらドキドキ。メッセージを受信するたびにドキドキ。
スマートフォンが鳴ってメッセージを受信すると飛びつくようにして見るようになっていて、関係のない企業広告にがっかりすることも最近はよくある。
待つことの切なさもちょっぴり覚えてしまった。