しちゃいけない恋
第四章

「もう12月かぁ」

私、鈴木茉由は窓際から外を見て言った。

外は綺麗な雪景色。

みんな遊んでいる。

もちろん愛奈たちも。

「茉由もこっちおいでよ〜!」

愛奈に手招かれている。

そばのいるのは光輝。

遙もいるのかな。

少し心が揺らいだけど寒いから無理だ。

「俺も無理だな」

隣から声が聞こえて横を向くと。

遙がいた。

「は、遙、なんでいるの?」

「なんでって。寒いのは好きじゃないから」

同じだった。

その日は2人で外で遊んでる愛奈たちを見てた。



「ねぇ!クリスマスパーティーしよ!」

昼休憩になった時、愛奈はそう言った。

クラスの人たちはもちろん賛成。

夏の海のメンバーでいこうということだから、遙も光輝も来るらしい。

日程を決めたあと、私は愛奈に呼ばれた。

「どうしたの?」

「茉由!告白するチャンスだよ!」

心臓が止まるかと思った。

告白はできない。そう諦めていたから。

やっぱり私たちは兄弟。遙もそう思ってる。

「いや、私は無理だよ」

「……。茉由、諦めちゃうの?」

諦めたくない。

遙のそばにいたい。

でもそれは兄弟という関係で十分だ。

だけど……。

「……諦めたくはない」

思わずそう言っていた。

その言葉をもちろん愛奈は逃さない。

「私がチャンス作るから!告白じゃなくても話しなよ!」

「わかった。ありがとう、愛奈!」



意外と時間が経つのは早かった。

あっという間に終業式が終わり、みんなはカラオケに集まる。

「クリスマスパーティーの始まりだー!」

それぞれ10人くらいに分かれて部屋に入った。

私は愛奈と遙と光輝たちと部屋に入った。

しかも遙と隣にしてくれたらしい。

嬉しいけど緊張する。

「茉由、大丈夫か?」

下を向いていたせいで心配された。

「だ、大丈夫。それよりも遙は歌うの?」

「光輝と一緒に歌うらしい」

そう言って険しい顔をしたから思わず笑ってしまった。



何回か歌っていると愛奈に呼び出された。

「茉由、ここにいてね!連れてくるから!」

「え、きゅ、急に?」

「大丈夫だって!話すだけでもいいから!」

そう言ってすぐに戻っていった。

緊張するなぁ。

そうのんびり待とうとしていた時。

「ど、どうした?大丈夫か?」

そう声が聞こえた。

愛奈が呼んできてから1分も経ってない。

「だ、大丈夫だけど」

「よかった……」

「愛奈に何って言われたの?」

「いや、茉由が呼んでるから行ってって」

その一言だけできてくれたんだ。

あんなに急いで。

顔が赤くなっていく。

「茉由、大丈夫か?顔が赤いけど」

鈍感……。

今なら言えるかな。

ちゃんと言えるかわからないけど。

「遙」

「どうした?」

心配そうに聞いてくれてる。

「好き」

「え?」

「遙が好き」

遙は呆然としている。

「それは恋愛の好き?それとも兄弟の?」

「れ、恋愛」

そう言ってから答えがこない。

無理、かな。

泣くのは後でいい。

「ご、ごめんね。こんなこといって」

そう言っても返事はこない。

走って逃げようとした時だった。

「待って!」

気づくと遙の腕の中にいた。
< 9 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop