モナムール
「ははっ、その顔、たまんないですね」
「っな、に」
「……めちゃくちゃにしたくなります」
耳元で囁かれて、全身でびくりと反応する。
「……かーわいい」
ぼそりとした声に、耐えきれなくて両手で顔を隠す。
その余裕そうな顔に腹が立つのに、それなのに。
さっきのキス、良かった。
とろけてしまいそうな、甘くて深いキス。
癖になりそう。
「ほら、まだ残ってますよ?飲みましょう」
「こんな状態で飲めるわけっ」
「じゃあもう一度します?」
「しませんっ!」
「残念。俺はまだまだし足りないんですけどね」
舌をぺろっと出した廻くん。そういう時だけ歳下ぶるのもタチ悪い。
その日は、それ以上何かあるわけでもなく。
終始嬉しそうに顔を綻ばせる廻くんと一緒にしばらく美味しいお酒を楽しんだのだった。