モナムール
私の苦痛を和らげる
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数日後。
「お疲れ様でーす!」
私は仕事終わりに部署の皆と飲み会に参加していた。
月末を迎え、部署内での営業成績が目標を達成したことの慰労会のようなものだ。
私は周りに気を配りつつ仲の良い先輩の横でハイボールを飲んでいた。
「中野さん、ちゃんと飲んでるか!?」
「はい、飲んでますよ部長。追加注文しましょうか?」
「おぉ、気が効くな。頼むよ」
部長のグラスが空いているのを見てビールを追加注文すると、語り出した部長の話を適当に聞き流しながら相槌を打つ。
私も頭では別のことを考えていて。
はぁ、dernierに行きたい。飲んでないと上司がうるさいから適度に飲みはするけれど、廻くんが作ってくれたお酒の方が数倍おいしいし飲んでいて楽しい。
早く廻くんの顔が見たいなあ。
無意識にそう思いながらハイボールを飲み干した。
結局二次会にまで連れていかれ、お開きになったのは午後二十三時。
結構飲んだけれど、まだ足取りは軽い。
迷惑になるとはわかっていたけれど、閉店間際のdernierに向かいその扉を開けた。
「ははっ……あ、いらっしゃいませ」
「……こんばんは。今日はなんだか賑やかですね」
「はい。お陰様で。お席があちらになってしまうんですが、よろしければどうぞ」
お店の中は時間の割にはとても混んでいて賑やかだった。
若い女性がカウンターを埋めており、私がいつも座る奥の席も先客がいた。
忙しそうだし帰ろうかなとも思ったものの、一度入って案内されてしまった手前そんなことはできず。一人奥にあるテーブル席に腰掛ける。