モナムール
あるがままに



*****



「どうしたの?そんな顔して」


「……え、あ、いや。なんでもないです……」


「変なの。ほら、早く終わらせないと残業確定だよ?それに中野さん、午後から外回りって言ってなかった?」


「そうだったっ……やばっ、外回り行ってきます!」



先輩の声に慌ててパソコンの電源を落として鞄に押し込み、スーツのジャケットを持ってオフィスを飛び出した。


腕時計で確認しながら走って社用車に乗り込み、向かう先は取引先企業。


そこで新しい商品のプレゼンをなんとかこなしたものの成約には至らず、落ち込みながら帰り道を運転する。



「最近ダメだ……」



ここ数ヶ月、仕事がうまくいかない。


今まではそれなりの成績を残せていたものの、最近では上手く契約が取れなくなってしまっていた。


そのため必然的に残業続きになってしまいもう何日もdernierにも行けていない。


マスターに聞いてもらいたい愚痴もそれなりに溜まってきた。


しかし、それ以上に仕事が不調すぎて飲みに行くという元気も無い。


はぁ。とため息をつきながら自社ビルに戻ると、そこには鷲尾さんの姿があった。


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