大好きな君の観察記録
「私がちっちゃいって言いたいの!?」



付き合う前からよく撫でてきたから癖なのかと思ってたのに……!



「そうじゃなくて」

「じゃあ,なに?」



じっと睨めば,風は口を引き結んで,片手で前髪をくしゃっと潰した。

なにその照れたみたいな仕草。

突如すっぽりと風の腕に収まる,私のからだ。

確かに風に比べたら小さいと,目をぱちぱちしながら思う。



「えっえっ風?!」



さすがに恥ずかしいって言うか…



「可愛いって思ったら,やっちゃう…」



弱々しく白状されたそれに,私の顔は真っ赤。



「ちっちゃいときから…?」



そういう意味だったの?

ドキドキしながら聞いてみると,風は小さい声で



「うん」



と言った。
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