暗黒ギフト1
その瞬間海斗は自分の心臓の辺りが急速に冷えていくのを感じた。


「そんなわけないじゃんね」


「トラックなんてどこにもないじゃん」


クスクス。


ヒソヒソ。


クスクス。


ヒソヒソ。


今まで海斗をヒーロー呼ばわりしていた女子までも、同じように笑い始めた。


「……っ」


それでもなにか言おうと口を開きかけた海斗だったが、なにも言えずに黙り込んでしまった。


今すぐハトをグランド内から出さないといけない。


そんな気持ちが一気にしぼんでいってしまう。


「おい、海斗大丈夫か?」


健が心配して声をかけてくるが、海斗は顔をあげなかった。


大人たちだけじゃない。
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