暗黒ギフト1
☆☆☆

放課後になってからも健はなかなか動き出すことができなかった。


ジッと自分の席に座って机の木目をにらみつける。


「海斗、そろそろ行くぞ」


健に声をかけられてようやく顔を上げた。


「あぁ……」


のろのろと立ち上がり、ランドセルと背負う。


今日はいつも以上にランドセルが重たく感じられて、一歩歩くのも大変だ。


「おい大丈夫かよ」


「大丈夫だよ」


そう言ったものの、頭の中はぐちゃぐちゃだった。


誰も自分たちの言葉に耳をかしてくれなかった。


それ所か、まるで悪者のように言われてしまったのだ。


それなのになぜ自分は彼らを助けようとしているのか、わからなくなってしまった。


事故が起こることはもちろん防ぎたい。


だけど、気持ちが後ろを向いてしまっていた。


「あのなぁ――!」
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