暗黒ギフト1
2人は男に促されてベッドの横まで移動して、「どうも」と、短く返事をした。


わざとぶっきらぼうにしたわけじゃない。


相手が自分よりも年下だったことに驚いて、うまく言葉が出てこなかったのだ。


「私の名前は秋吉梓よ。今5年生なの」


梓の声がキレイなことにも驚いたし、同い年だったことにも驚いた。


しかし、梓のことを学校で見たことはなかった。


もしかしてここは学区が違うんだろうか?


「俺は西村健」


健が一歩前に出て梓へ向けて手を突き出す。


「よろしく」


梓はニコニコと微笑みながらその手を握った。


握手した瞬間健の頬がニヤけるのを海斗は見逃さなかった。


ムッとした海斗は同じように「深谷海斗」と挨拶をして梓と握手を交わした。


その手は少し力を込めれば折れてしまいそうなほど細くて、頼りないものだった。


同級生の女子生徒の手を思い出してみても、もう少し太さがある。


ここに入ってきたときから感じていたが、梓は病気なのかもしれない。


細く華奢すぎる体をしているから、とても小学5年生には見えないのだ。
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