暗黒ギフト1
この学校では5年生6年生の教室が3階。


1年生2年生3年生の教室は1階にあった。


だから学校内でお姉さんに会うことも滅多にない。


それは梓にとって少しさみしく感じるところだった。


「おはよう……」


3年2組の教室に入り、誰にともなく声をかける。


しかし梓の声は小さくて誰にも届かない。


もう少し大きな声で挨拶してみようか。


そう思って口を開いた途端、梓の真後ろで「はよー!」と、元気な男子の声が聞こえてきた。


梓は思わずビクッと体を震わせた。


振り向くとクラスのリーダー的な存在である男子生徒が登校してきたところだった。


わっとクラスメートたちが男子生徒の周りに集まってっ来て、梓は慌ててその場を離れた。


今日はちょっとタイミングが悪かったみたいだ。


梓は自分にそう言い聞かせて、席についたのだった。
< 135 / 156 >

この作品をシェア

pagetop