暗黒ギフト1
☆☆☆

休憩時間になっても梓は1人だった。


机の上に落書き帳を取り出して、意味もなくクレヨンでグルグルと丸をかき続ける。


面白くもなんとも無い。


「ねぇ、一緒に遊ぼう!」


そんな声がしてパッと顔を上げても、誘われているのは梓の隣の席の子だった。


梓の気持ちは暗く沈み込み、また落書き帳に視線を落とす。


普段なかなか学校に来ることができない梓はまだクラスに馴染むことができずにいた。


体育の授業は毎回見学が許されていて、それを妬む子も少なくはなかった。


「いいよね梓ちゃんはいつも体育休めて」


「ほんと、疲れちゃうよねぇ」


そんな風に嫌味を言われることもある。


梓だって走り回ることができるならやってみたい。
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