暗黒ギフト1
でもアニメはアニメだ。


現実とは違う。


「アニメの中ではいつも主人公が不幸になるよな。ギフトの存在を誰も信じてくれなくて、たった1人で奮闘して、失敗してさ。俺そんなの嫌だよ」


海斗はしかめっ面をして言った。


誰かを助けようとして自分が不幸なるなんてまっぴらだ。


「だけど昨日は未来を変えることができた。アニメとは違って、俺たちは未来を変えたんだぞ?」


健は身を乗り出して言う。


そう言われるとなんだかすごいことのような気がしてくる。


自分たちにはアニメキャラでもできなかったことができるというのか。


「それに、未来を変えたって俺やお前が不幸になったわけでもない。最高じゃないか?」


健の言う通り、今の所2人共不幸な目にあったりはしていない。


「でも勝手に未来を変えるのっていいのかな。なにかの本でダメだって書いてあった気がするけど」


「そんなの気にするようなことじゃない。その本を書いたヤツが未来に行ってきたなら話は別だけど、どうせ頭の中で考えた話しだろ」


きっと健の言う通りだと思う。


そうなるともう怖いものはなかった。
< 28 / 156 >

この作品をシェア

pagetop