暗黒ギフト1
女子は不服そうな表情を浮かべているけれど、気にしてはいられない。


上からカナエの様子を確認してみると顔は真っ青で、手足は震えている。


本当に高い場所が苦手みたいだ。


「どうしてこんな状態になってまで登ろうとするんだ?」


「私達と一緒に遊びたいっていうから、じゃあ練習しなきゃねってことになったの」


「なんもジャングルジムで遊ばなくていいだろ?」


「だって私達、いつもここで内緒話をしてるんだもん。カナエはその話しに混ざりたいんだって」


内緒話しならもっと最適な場所があるだろうが。


海斗はそう思ったが口には出さなかった。


カナエは懸命に手を上に伸ばし、足をひっかけてゆっくりゆっくりと登ってくる。


もう少しで頂上に到着しそうだ。


「カナエ! 後、少しだよ、頑張って!」


友人に声を掛けられてカナエが上を見上げた。


青い顔をしているがニッコリと微笑んでみせる。
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