暗黒ギフト1
少し余裕が出てきたのか、周囲を確認したりもしはじめた。


この分なら大丈夫かな。


海斗がそう思った次の瞬間だった。


一瞬だけ強風が吹き付けた。


制服がはためいて体が持っていかれそうになる。


海斗はジャングルジムを強く握って体勢が崩れないようにした。


「うわぁ、すごい風」


隣に座る女子生徒がそうつぶやいたときだった。


海斗の視界に真っ青になったカナエの姿が写った。


カナエは強風によって恐怖心が蘇ってきたのか、またガタガタと震え始めている。


「おい、落ち着け!」


海斗がそう声をかけてもまるで聞こえていない様子で、手と足がバラバラに出て上に登ることも下に降りることもできなくなっている。


完全にパニック状態だ。


カナエにいくら声をかけても聞こえなさそうなので、海斗は「健!!」と叫んだ。


下で待機している健は「わかってる!」と声をあげる。


「カナエ落ち着いて! ゆっくりでいいから」


女子生徒たちも友人の異変に気が付いて声を上げる。
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