暗黒ギフト1
風はやんでいるし、今のうちなら一気に登ってくることができそうだ。


海斗がカナエへ向けて右手を伸ばしたその時、再び強い風が吹き抜けた。


さっきよりも強くてグラウンドのあちこちから悲鳴が上がる。


その瞬間、カナエの手がジャングルジムから離れたのだ。


風に煽られて手を離してしまったカナエが大きく目を見開く。


体が傾いて落下していく、その寸前。


海斗は思いっきり手を伸ばしてカナエの手首を掴んでいたのだ。


右手でカナエの腕を掴み、左手でジャングルジムを掴んで自分が落ちないようにした。


「カナエ!!」


それを見ていた上の2人が真っ青になってカナエに手をのばす。


だけど上に引き上げることは難しそうだ。


「2人共下に行ってくれ、カナエちゃんを受け止めるんだ!」


海斗が2人に指示を出すと、2人は青ざめた顔で頷きすぐにジャングルジムを降りていった。


下に3人もいれば大丈夫だろう。


カナエちゃんの体を完全に受け止めることは無理でも、クッションくらいにはなる。


「カナエちゃん、今から手を離すけどみんないるから大丈夫だからね」


海斗はゆっくりと声をかけて微笑んだ。
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