暗黒ギフト1
カナエちゃんを支えている右手はビリビリと痛くなりはじめていた。


片手で人間1人支え続けるにはさすがに限度がある。


カナエは今にも泣き出してしまいそうな表情で海斗を見上げて、頷いた。


それしか方法がないとわかっているみたいだ。


「下にはみんないるから、大丈夫だから」


声をかけながらゆっくりと手のちからを緩める。


カナエちゃんの体がガクンッと下がって、咄嗟に両手で右腕を握られてしまった。


カナエちゃんの体重が右腕にかかってしびれが増していく。


ジャングルジムを掴んでいる左手も痛くなってきた。


このままじゃ自分も一緒に落ちてしまうかも知れない。


不安を感じたとき、「大丈夫か!?」という野太い声と共に学年主任の先生が駆けつけてきた。


誰かが先生に伝えてくれたみたいだ。


学年主任の先生が真下へやってくると、両腕を伸ばしてカナエちゃんの足を掴んだ。


「よし! もう離してもいいぞ!」


そう声をかけられて海斗はゆっくりとカナエちゃんの腕を離した。


カナエちゃんの体は落下することなく、しっかりと学年主任の手に抱き留められた。


それを見てホッと胸をなでおろす。


周囲は拍手に包まれて、海斗と健は軽くウインクしたのだった。
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