暗黒ギフト1
☆☆☆

海斗がカナエちゃんを助けたというニュースは昼休憩の間にあっという間に学校内に知れ渡ることになった。


目撃者多数、学年主任から直々のお礼などもあって海斗は英雄扱いだ。


だけどこれは健がいてこそ成し遂げられたものだった。


「健が下にいてくれたから安心できました」


海斗がそう説明をすると、健も同じように褒められて2人して頬を赤く染めることになった。


「結構いいところあるんだね」


メガネ女子はなぜかもじもじとしながら海斗にそう言った。


どうして褒められていない彼女が赤い顔をしていたのかわからないけれど、とにかく昼間の誤解は解けたようで良かった。


帰りのホームルームでは担任の先生に呼ばれて健と2人で教卓の前に立った。


担任は2人を褒めそやし、2人のように勇気ある人間になるようにクラスメートたちに伝えていた。


「すげーな。俺たち英雄だ」


2人で肩をながらべて帰宅していると、健は夢心地の様子でつぶやいた。
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