暗黒ギフト1
一瞬身構える2人だが、クラスメートではなく6年生だったのでホッと胸をなでおろした。


「っていうかお前、めっちゃ緊張してんじゃん」


「健だって緊張してるだろ」


万引を止めるなんて初めての経験だ。


緊張していないほうがおかしい。


もしかしたら相手が逆ギレしてくるかもしれないし、本来なら書店員に手助けしてもらうのが最善だ。


学校で友人らが本屋で万引する計画を立てていたのを聞いた。


とか、そういう嘘をつけばきっと動いてくれる。


だけど、2人は昨日決めたばかりなのだ。


大人には相談しないと。


やがて6年生の女子が店内からいなくなり、しばらく暇な時間が訪れた。


店内の時計を確認するとすでに4時が過ぎているけれど、それらしいヤツはまだ来ない。


「まさか予言が外れたんじゃないだろうな」


健がそわそわした様子でそう言った。


「今までそんなことはなかっただろ」


きっとまだ犯人がここに来ていないだけだ。
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