暗黒ギフト1
健はそう言って笑う。


通学班に置いていかれたのは今学期4度目だ。


いまのところ同じ地区の中では海斗が1位らしい。


健はそれを知っていてケラケラと笑っている。


「別に、学校くらい1人でも来れるだろ」


「そりゃそうだけど、俺たちもう5年生だぞ? 今は下級生の面倒を見るための通学班だろ?」


そのとおりなのでなにも反論はできない。


1年生や2年生たちはしょっちゅう遅刻する海斗を見てどう思っているだろうかと、考えなくもなかった。


下級生たちにとって見本にならないといけないこともわかっているけれど、真面目を貫くことだって難しいのだ。


「誰か言ってたよな。ルールは破るためにあるんだって」


誰が最初に言い出したのかわからない都合のいい名言を言ってみる。


健は今度は呆れ顔になってしまった。


海斗はランドセルの中身を机の中に片付けているとき、ふと指先になにかが触れるのを感じた。


それを引っ張り出してみると、今朝躓いて小箱だった。
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