暗黒ギフト1
☆☆☆

幸いにも海斗はギフトに入っていた手紙を持ち歩くようにしていた。


ひとつは健に見せるため。


もうひとつは、内容を何度も確認し直すためだった。


それを握りしめて職員室をノックする。


低学年の生徒たちはノックも忘れて入っていくけれど、海斗たち高学年になるとノックと『失礼します』の挨拶は必須だった。


「先生、ちょっといいですか?」


デスクで仕事をしていた担任に声をかけると、担任はペンを置いて向き直ってくれた。


チラリとデスクの上にあるものを確認すると、昨日の小テストの採点途中だった。


小テストのできがあまり良くなかったとわかっている海斗は少しだけ胸の奥がむずむずした。


「お、ヒーロー2人組がどうした?」


担任がおどけた調子で言う。


2人が問題を解決するごとに褒めてくれている担任は、2人のことを5年3組のヒーローだと呼ぶ。
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