暗黒ギフト2
☆☆☆

2人して病院の前までやってきたがそこで足が止まってしまった。


数日ぶりの病院に海斗は表情をこわばらせている。


「大丈夫か?」


「あぁ、平気」


健にはそう返事をして置いて、今朝殴られた頬にふれた。


まだ少し痛むけれど随分と手加減してくれていたようで、腫れは目立たなかった。


海斗は健の後ろについて病院内へと足を進めた。


今日は平日なので待合室に人の姿が多い。


薬を貰いに来た年配者や、顔色の悪いスーツ姿の中年男性。


そんな中に元気な自分たちが入っていくのが、なんとなく後ろめたい気持ちになる。


ランドセルを背負った2人組は目立つようで、5階へ到着するとすぐにナースステーションから「あら、健くんいらっしゃい。今日は友達も一緒なのね」と、声をかけられた。


看護師に声をかけられてあたふたしている海斗を横目に健は笑顔で「こんにちは」と挨拶している。


海斗がここへ来ない間に随分と仲良くなったようだ。


海斗も看護師と軽く挨拶を交わしたあと、2人は梓の病室へと向かった。
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