暗黒ギフト2
そう言われて海斗はぎこちなく頷く。


このなあんでもないような会話でも海斗にとっては特別な時間で、すごく幸せを感じることができる。


いつかメガネ女子が言っていたとおり、これが好きという気持ちなのだろう。


それから海斗たちは学校内で起きた出来事や、最近梓が呼んで面白かった本の話をした。


海斗はほとんど小説を読まないのだけれど、今度本屋で買って読んでみようと心に決めた。


海斗たちがここへきてから20分ほど経過したとき、梓が少し苦しそうな表情を浮かべた。


「どうした?」


「ごめん。少しおしゃべりしすぎたみたい」


梓は照れくさそうに微笑んで、ベッドを下げた。


そのまま横になり、ふーっと大きく息を吐き出す。


疲れてしまったのかも知れない。


海斗にとって20分間のおしゃべりなんてどうってことないことだ。


1時間2時間走り回って遊ぶことだってできる。


けれど今の梓には座って会話をすることでも、長時間になると難しいことなのだと、あらためて理解した。


「俺たちに突き合わせてごめんね。今日はもう帰るから」

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