暗黒ギフト2
☆☆☆

「最近またギフト来なくなったな」


昼休憩時間中、健が呟いた。


2人は中庭に出てきていてベンチで横になっていた。


グラウンドからは生徒たちの遊ぶ声が聞こえてきて、中庭を駆け抜けていく下級生たちもいる。


「そうだなぁ。平和ってことだな」


海斗は目を閉じて返事をした。


ベンチに座って空を見ていると鳥が気持ちよさそうに飛んでいく。


どこへ向かっているのか知らないけれど、軽々と空を飛ぶその姿には少し憧れるものがあった。


「そうだなぁ」


健はあくびを噛み殺して目尻に涙をためている。


平和なのはいいことだけれど、やはり気になるのは梓のことだ。


ギフトの回数はどんどん減っていて、その間梓の体は弱ってきている。


2人ともその比例していく出来事に気が付いていたけれど、話題に出すことを恐れていた。


「そういえば執事の姿も見てないな」


健に言われて海斗は上半身を起こした。


太陽で熱された体が少し暑くなってきている。
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