暗黒ギフト2
「笑い事じゃねぇし」


仏頂面になってそう言う海斗に、不意に健が真面目な表情になった。


「でもさ、あいつが殴ってくれなかったら、俺が殴ってたかもな」


「まじかよ」


「だってお前自分のことしか考えてなかったじゃん」


そう言われると言い返す言葉が見つからない。


梓に会うと辛くなるからと逃げていたのは、確かに自分のためだった。


「ま、今は毎日お見舞いに行けれるからいいけどなぁ!」


立ち上がった健がバンッ! と痛いくらいに海斗の背中を叩く。


「今日も行くんだろ?」


「もちろん、行くよ」


海斗はまっすぐにそう返事をした。
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