暗黒ギフト2
☆☆☆

どうして男は梓に会いに行かなくなったのだろう。


自分には頬を殴り飛ばしてでもお見舞いに行かせたくせに。


海斗はもんもんとした気分のまま着替えをして、朝ごはんを終わらせた。


「海斗、最近ゲームをしすぎなくなったし、本当によかったわ」


「そうだな。海斗もどんどん成長して行っているんだな」


背中に両親のそんな会話を聞きながら玄関を開ける。


と、目の前に黒い箱が置かれていることに気が付いて「あっ!」と声を上げていた。


大急ぎでそれを手に取り、周囲を見回す。


すでに男の姿はどこにもなくて軽く舌打ちをした。


自分が用事のあるときには玄関先で待っているくせに、海斗から男へ用事があるときには姿を見せないらしい。


都合のいい男にまた舌打ちをしてしまった。


でも、男がこれを持ってきたということは梓に会いに行ったということだ。


その点に関してはホッとするところだった。


黒い箱を大切にランドセルにしまった海斗は通学班と合流をした。


1年生の歩幅に合わせて登校するのももどかしい気持ちだ。


早く学校へ行って、いつものように健と2人でギフトの中身を確認したい。


気持ちが先走ってついつい早足になり、6年生から注意を受けてしまった。
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