暗黒ギフト2
けれど、河川敷のすべてがそんなふうにキレイにサれているわけじゃない。


向かい側へ視線を向けると草木が生い茂って、小さな子どもくらいならすっぽりと覆い隠してしまいそうだ。


「特になにもないなぁ」


河川敷で遊んでいる生徒でもいるのかと思ったが、そんな姿も見えない。


一体被害者になる子はどこにいるんだろう?


そう思って海斗が首をかしげたとき、水面を見つめていた健が少し視線をずらした。


そして「あっ!」と、大きな声を上げる。


「どうした?」


駆け寄ってみると健は向かい側の河川敷を指差した。


その先へ視線を向けると、1人の少女がくさきヲかき分けて歩いているのが見えた。


なにか探しているのか、キョロキョロと周囲を見回している。


橋の上からなにかを落としてしまったのかもしれない。


ふざけ合いながら歩いていると、よくあることだった。


「あれって亮子じゃないか?」


目をこらして確認してみると、その少女は亮子のようなのだ。


2人は驚いて目を見交わせた。
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