暗黒ギフト2
海斗は無意識のうちに拳を握りしめていて、じっとりを汗が滲んできていた。


「亮子だ」


健の声が聞こえて振り向くと、亮子が校門を抜けてこちらへ歩いてくるところだった。


2人は注意深く亮子の様子を見守る。


亮子は今はひとりで、信号機の手前で立ち止まった。


「どうする、近くに行くか?」


健に聞かれて海斗は頷いた。


あまり亮子とは離れていないほうが良さそうだ。


2人は人波をかき分けて亮子へと近づいた。


小柄な亮子は難なく横断歩道の前の方へ移動できていたけれど、2人はそういうわけにはいかなかった。


「ちょっとすみません」


「通ります」


と、声をかけて徐々に亮子に近づいていく。


そしてもう少しで真後ろまで来るというときだった。


亮子の体が突然よろめいたのだ。


まだ赤信号の横断歩道へ向けて一歩前に足を踏み出す。
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